[人間社会学部]株式会社電通総研とロボット遠隔支援実証実験の共同研究を実施
2025年05月08日
人間社会学部の来間千晶専任講師は、株式会社電通総研 ヒューマノロジー創発本部 Open Innovationラボの受託研究として、リハビリテーション業務におけるロボット遠隔支援の実現性や課題について、2024年11月から12月にかけて連携先病院での実証実験を行いました。
■共同研究の背景と目的
現代の日本では少子高齢化等による生産年齢人口の減少が社会課題となっており、2025年以降はさらに継続的に減少していくと予想されています。この課題は産業界やアカデミアからも大きな関心が寄せられ、生産性や安全性に限らず、就労者の働きがいやwell-beingを踏まえた革新的なソリューションの創造が求められています。
この解決策として、遠隔就労の普及が注目を集めています。来間千晶専任講師は建設機械の遠隔操作インターフェースに関する研究に取り組み、操作者の心理的メカニズムに着目しながら遠隔就労での人間拡張技術の実現性について挑戦してきました。
今回は、リハビリテーション業務における遠隔支援をテーマに、技術的?ユーザー心理的の双方の課題の解決を目指すため、表題の通り実証実験を行いました。
■実証実験の内容
リハビリ業務におけるロボット遠隔支援の実現性および課題の検討のため、協力先病院のリハビリテーション施設で遠隔作業環境を想定した実証実験を行いました。実際にリハビリテーション業務を担当する理学療法士を対象にし、施術中の遠隔支援ロボット操作インターフェースの試作機の操作や、遠隔先の作業者とのリモートコミュニケーションを実施。来間専任講師は、実験に参加した理学療法士へインタビューを行い、ロボット遠隔支援の実現可能性や懸念点を調査しました。
対象者からは、ユーザーインターフェースの表示に関する要望や、遠隔先ロボットの周囲情報の欠落について言及された一方、ロボットの操作や挙動調整については学習可能であったことが示されました。また、遠隔先の作業者からはロボットの挙動やリハビリテーション患者への影響に関する懸念が言及され、遠隔支援ロボットとの協働が今後の課題として挙げられました。
■今後の展望
遠隔支援ロボットの技術上の課題だけでなく、遠隔就労に対する就労者のマインドセットや技術に対する投資利益の感じ方など、遠隔支援ロボットの受け入れに関する課題が表出しました。現場のフィードバックを受けながら実証を進める予定です。